猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)

 読了。
 若竹七海お得意のコージィミステリ。葉崎市を舞台とする『ヴィラ・マグノリアの殺人』『古書店アゼリアの死体』に続く第三弾という認識でいいんだろうか。微妙に違う気もするが。
 久々の新作だけど,相変わらず面白いですね。いかれた人物が織りなすいかれた大騒動が楽しい。ただいつもに比べると,いかれた人物具合はそれほどではないかも。『ヴィラ・マグノリアの殺人』『古書店アゼリアの死体』で活躍した駒持時久警部補ももちろん登場してきます。迷探偵50%名探偵50%といった印象は相変わらず。人使いの荒さも変わっていません。でもどこか憎めないんだよな,この人。あとは名前だけだけどおなじみの角田港大とか前作に登場の渡部千秋なんかも登場しています。彦坂夏見はいなかった。残念。
 とにかく今回は猫好きにお勧め! 自分としては猫が活躍するだけで評価は2割増になるのですが,今作は徹頭徹尾猫だらけでもうそれだけでいいやという感じ。もちろんミステリとしても充分に面白いです。散りばめられた伏線が一本に繋がるカタルシスも味わえるはず。そして真相が二転三転する終盤もいかにも若竹七海らしい展開で好き。若竹毒が薄味なのはちょっと寂しいけど,葉崎市を舞台とするシリーズにそれはさほど求めてはいないのでよしとします。ファンなら素直に楽しめる作品じゃないでしょうか。