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犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

　初めて読む作家。本当は『氷菓』が読みたかったんだけど見あたらなかった。と思ったらスニーカー文庫なのか。うーん，ちょっと微妙かも。
　割に正統派のミステリで，期待以上に面白かった。ただ後味はあんまりよくない。〈私〉こと紺屋と〈俺〉ことハンペー，2人の視点で追われる2つの依頼−失踪人の捜索と古文書の解読−が意外なところから繋がっていく……という構成としてはまあありがちと言えばありがち。個人的にはハンペーのサイドのほうが好み。探偵という職への憧憬はオレにもよく分かる（苦笑）。紺屋のほうはインターネットを使って捜査するあたりが如何にも現代的というか。チャットで紺屋に協力する〈GEN〉というHNの男がなかなかに興味深いです。
　紺屋は病気を理由に銀行を退職し，世間への復帰の手段として調査屋を始めたということもあって，当初はのんびりというかまったりというか，そんな雰囲気が否めなかった。ただ後半はスピーディーでテンポもよく，何より結末でのどんでん返しに驚かされた。まあ予想は出来てはいたんだけど。
　とりあえず他も読んでみようかなという気になる作家ではあります。ただ『春季限定イチゴタルト事件』という題名の作品はどうなのかと。手に取りづらいよなあ……。