世界戦史―歴史を動かした7つの戦い (学研M文庫)

世界戦史―歴史を動かした7つの戦い (学研M文庫)

 思えばノンフィクションの感想を書くのって,サイト開始後初めてかも。めっきり読まなくなっちゃったからなあ。
 実は有坂純は歴史よりもTRPG関係の文章のほうが印象深かったりする。結構RPGマガジンあたりで名前を見てたような気がするんだよね。『クトゥルフの呼び声』の翻訳にも携わっていたはずだし。というわけで,馴染みの名前ということで読みたかった一冊なのだけど,予想以上に濃い戦史本で大満足。
 世界史上に輝く7つの戦いを鮮やかに描き出す歴史ドキュメント。結局のところ高校世界史ってのはクイズにしか他ならないんだけど,その中で学んだ*1事象に色彩がつく感覚を味わうことが出来ます。カイロネイアの戦い,イッソスの戦い,カエサルガリア遠征……高校世界史では記号として扱われていた戦いの本当の意味,そしてその展開は新たな知識を得る喜びをもたらしてくれます。特に個人的にはカイロネイアの戦いが好み。アレクサンドロス大王の父フィリポス2世がこんなに魅力的な人物だとは思わなかったよ。
 ただ7つの戦いを取り上げるだけでは惜しい。願わくはもっとこの人の戦史論を読みたいな,と。期待して待とうと思います。

*1:というか,覚えた