豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)

豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)

 十数年ぶりに再読。この頃の《グイン・サーガ》は良かったな。
 読んだのは改訂版のほう。一応,改訂される前の初版も持ってはいますが。一部表記が変わっているだけなので,そんなに気に掛ける必要はないと思います。改訂版を出すにあたっての経緯説明は巻末で語られていますが,その中身よりも御大の謙虚さに驚いた。今の尊大さとは大違いだ。
 やっぱりトーラスのオロのくだりは好き。そしてこの伏線が解消される67巻『風の挽歌』を既に読んだ身としては,万感胸に詰まる思いがします。そーか,『風の挽歌』を読んでからでも7年42巻が経過しているのか。時の流れを感じさせるな。それに“魔戦士”“”紅の傭兵から今や“ゴーラの僭王”と化してしまったイシュトヴァーン,またリンダとレムスの姉弟も運命に流されてしまっているのだなと思わされます。特にこの序盤のころのイシュトヴァーンは狡猾ながらも明朗で陽性の覇気に溢れていたんだよな。今の姿はやっぱり悲しすぎる。
 2巻『荒野の戦士』も近いうちに読むつもり。現況と照らし合わせながら,少しづつ再読を進めようと思います。