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ボルボロスの追跡―グイン・サーガ〈106〉 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
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僕の中で株が急上昇中の〈風の騎士〉さまの単細胞ぶりは微笑ましいが,展開としてはちょっと意外な方向へ。予想していなかったわけではないけれど,これでまたイシュトがグインを恨む理由がひとつ増えてしまったのかなと思うと悲しい。ハラスと〈風の騎士〉さまの首をグインに突きつけて,「これが貴様の裏切りの証だ,グイン」と叫ぶイシュトヴァーンの姿が目に浮かぶようです。イシュトヴァーンって昔の栗本薫のインタビューでモデルは曹操と明言されていたのですが,今にして思えば一代にして王朝を築き上げ,忠臣功臣*1を粛正し,盗賊と英雄と聖人を兼ねると評された明の洪武帝朱元璋のほうにこそ似た空気を感じます。
さて,グインご一行様の向かう先はクムに決定し,グインの中原漫遊記的な色合いが濃くなっています。ここでもマリウスが攫われたら大笑いなんだけどな。
*1:好き嫌いはあるだろうけどアリストートスは忠臣で功臣だよな