最近,妙に持ち直し気味のファンタジー大河小説106巻。表紙はリギア。よく考えれば,作中で好感の持てる珍しい女性です。他はリンダとかアムネリスとかシルヴィアとかろくなのがいないもんな。一番好きだったアレン・ドルフュスの復活を希望。モンゴール復活をもくろむ勢力の登場により,その可能性は少し出てきたように思うのだがどうだろう。作者が存在を忘れていなければ,だけど。
 僕の中で株が急上昇中の〈風の騎士〉さまの単細胞ぶりは微笑ましいが,展開としてはちょっと意外な方向へ。予想していなかったわけではないけれど,これでまたイシュトがグインを恨む理由がひとつ増えてしまったのかなと思うと悲しい。ハラスと〈風の騎士〉さまの首をグインに突きつけて,「これが貴様の裏切りの証だ,グイン」と叫ぶイシュトヴァーンの姿が目に浮かぶようです。イシュトヴァーンって昔の栗本薫のインタビューでモデルは曹操と明言されていたのですが,今にして思えば一代にして王朝を築き上げ,忠臣功臣*1を粛正し,盗賊と英雄と聖人を兼ねると評された明の洪武帝朱元璋のほうにこそ似た空気を感じます。
 さて,グインご一行様の向かう先はクムに決定し,グインの中原漫遊記的な色合いが濃くなっています。ここでもマリウスが攫われたら大笑いなんだけどな。

*1:好き嫌いはあるだろうけどアリストートスは忠臣で功臣だよな