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- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/10
- メディア: 単行本
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時代は違うにせよ,舞台が江戸ということもあって,主人公の弓月がどうも『しゃばけ』の主人公である一太郎と重なって見えて仕方がない。喋り口調が同じような感じなんだよね。このあたり書き分けがあまり上手くできていないような気がする。また一太郎が妖怪を見ることが出来るのと同じように,弓月もまた常人では出来ない夢告が出来るというのもキャラが似てしまう一因か。出来うるなら,もうちょっと人物造型に幅を持たせて欲しかったな,と。構造的にほぼ同一の存在になってしまっています。ちょっと残念。
物語としては面白かった。幕末という時代背景を存分に生かした出来事を主軸にミステリともファンタジーとも取れる物語に仕上がっていると思う。特に弓月が最後に見た夢告が好き。それはある意味で将来に希望を持たせる夢。こういった夢なら大歓迎。ただ夢告が,解釈の余地があるとはいえ,あまりにも正確で,弓月たちがそれに頼り切っているように見えるのはちょっと不満。夢で見たとおりにすれば,全てがうまくいくという考え方は好きじゃない。あまりにも夢告を連発しすぎて,初期の神秘的な雰囲気が損なわれてしまってるんじゃないだろうか。それだけが気になってしまった。