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- 作者: 田中芳樹,井上祐美子,狩野あざみ,赤坂好美,皇名月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/12/11
- メディア: 文庫
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皇なつきの美しい絵に4人の小説家*1の解説が添えられた中国皇帝50人の帝紀本。些か古い年代に人物が固まっている感はあるけど,そもそもこの手の本自体が少ない*2ので非常に参考になる。何より本場の絵師も驚嘆したという皇なつきの絵が本当に美しい。
50人の皇帝は最初の「人」黄帝から清朝最後のいわゆるラストエンペラー宣統帝溥儀まで名君暗君取りそろえた多彩な顔ぶれ。基本的には王道をいく選出かなと思うが,唐の宣宗(李忱)や北斉の顕祖文宣帝(高洋)とか後周の世宗(柴栄)も扱って欲しかった。特に柴栄が入っていないのはちょっと疑問。北斉の蘭陵王高長恭も入れて欲しいが,これは仕方がないか。三国時代の曹操,劉備,孫権がひとつの項にまとめられているのは納得。
でもやはり好きなのは後漢の光武帝劉秀と北宋の太祖趙匡胤の2人。結局,功臣を粛正しない皇帝というのが自分は好きなのかな,と。特に劉秀の逸話で好きなのが以下のもの。
即位後,宮中に故郷のおばちゃん連中を招いた。
「あんたみたいにおとなしい人が天子さまになるなんてねえ」
といわれて,気恥ずかしそうに笑っていたという。
劉秀の人間性がとてもよく現れている逸話であるように思います。