ネバーランド (集英社文庫)

ネバーランド (集英社文庫)

 伝統ある男子校の寮「松籟館」を舞台とする4人の少年の物語。閉じた空間での物語ということもあって,どこか『木曜組曲』を思わせる作品だった。それぞれが隠す秘密が明るみに出ることによって,物語が二転三転するところもよく似ている。
 読んでいて辛くなる箇所も多々あるけれど,基本的には青春を彩るどこか懐かしささえする物語で僕は好きだ。恩田陸の作品ではこないだ読んだ『エンドゲーム』や『球形の季節』みたく閉じずに終わる物語も多いのだが,どちらかというとこの『ネバーランド』や『木曜組曲』のように閉じて終わる物語のほうが相性がいいようだ。もっとも『球形の季節』なんかは釈然としないってだけで好きな作品ではあるんだけど。
 いつかまたこの4人に出会うことが出来たらな,と思う。彼らはどんな大人になっているんだろうか?
 それにしても『ここはグリーン・ウッド』とか『豪放ライラック』とか寮ものってなんか好きなんだよね。