ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

 再読。再読ばかりしてるから積読が減らないんだけど,まあいいや。
 若竹七海のデビュー作にして,連作短編集という既に得意とするスタイルを確立している作品。社内報に載せられた12の短編と後日談から構成されている。短編集と見ればバリエーション豊かな作品を楽しむことが出来るし,長編作品と見ればその裏に隠された真実を確かめることが出来る。
 好きなのは「内気なクリスマス・ケーキ」と「ラビット・ダンス・イン・オータム」,それに「箱の虫」と「写し絵の景色」といったところ。いずれも特に犯罪とは関わりのない(「写し絵の景色」は除くけど)ごくささやかな謎が魅力的。特に「箱の虫」では『スクランブル』に登場する文芸部の女子高生たちと再会できます。それだけで満足。なんでマリンが『スクランブル』に登場しないのかは気になるけど。
 ただ連作短編集としてはやっぱりまだ後の作品に比べると未熟だなと思う*1。ちょっと釈然とはしないけれど,まあこういうのもありかな,といった程度。短編集として見れば充分に面白いんだけどね。

*1:なんてエラそうな書き方なんだろう(苦笑)