共犯マジック (徳間文庫)

共犯マジック (徳間文庫)

 病床(大袈裟)にある時に読む本じゃないな,と。北森鴻らしく相変わらず面白いんだけど,珍しく後味が異様に悪かった。凶兆のみを占うフォーチューン・ブックがもたらす運命の皮肉を語った7つの短編からなる連作小説。唱和という時代を彩った大事件が一本の線で結びつく様は,些か都合よすぎるきらいはあるけれども,やっぱり見事なもの。僕はグリコ・森永事件くらいしか記憶にないんだけど,安保闘争〜ホテルニュージャパン火災〜3億円事件を目の当たりにしてきた人なら違う感慨があるんじゃないだろうか。