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- 作者: 坂木司
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/03/23
- メディア: 単行本
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鳥井が,坂木が,滝本が,あるいは今作で登場の松谷明子が,そして谷越淳三郎が抱く無意識の心の傷。それが鮮やかに,というわけではないけれども,少しづつ癒される方向へと導かれる結末が美しい。特に滝本と,彼の友人の寺田結美はシリーズを通じて大好きな2人なので,幸せになってほしいなと思います。ほんの端役とはいえ,塚田くんや安藤さんの登場も嬉しかった。よくをいえば佐久間さんとか明日香ちゃんにも登場して欲しかったけど。でも,まさに最後を飾るに相応しいオールキャストだといえます。それぞれのキャラクターを作者が大事にしている感がうかがえて嬉しい。
そしてルネ・マグリットを彷彿とさせる表紙のイラストがいい。青空を切り取るかのように,鳥の形をしたより明るい青空が動物たちの入った籠を掴んでいる。この絵はもちろんマグリットの代表作をイメージしたものでしょう。そしてそのマグリットの代表作のタイトルとは「大家族」。まさにこの三部作に相応しいタイトルであるように思います。