鯨統一郎『新・世界の七不思議』(創元推理文庫)

評価:★★★★
 「ミステリーズ!」連載中に殆ど読んだことがあったので大半が再読。一部加筆修正されてるらしきところもあったけれど。姉妹作『邪馬台国はどこですか?』に続く歴史ミステリものとして安定した面白さが嬉しい。ただ論理は前作以上に飛躍気味。特にノアの方舟とかモアイ像に関しては強引すぎる。もっともそれで面白さが損なわれている訳じゃないから問題はなし。結局,結論よりも宮田さんと静香の軽妙な歴史談義の応酬を楽しむ小説なんだろうと思う。その意味では非常に満足。
 ところでこの作品の主要人物のひとり美貌の歴史学者・早乙女静香って『すべての美人は名探偵である』でも主役を張ってるのね。鯨統一郎の作品ってこのシリーズ以外読んでいなかったのでまったくの盲点だった。『9つの殺人メルヘン』と合わせて近いうちに入手しよう。